ヘルニアで悩む男性

日本で常識のように語られてきた腰痛の知識には、医学、生理学、解剖学の常識とはかけ離れたものが多すぎのようです。

一般の人たちがそんな固定観念にとらわれすぎているというだけの話ではありません。

それよりもむしろ、医療現場でそうした〃誤った常識″がまかり通っているところに問

題があるのです。

 

たとえば少し前まで、「椎間板ヘルニア」が腰痛の代名詞のようにもなっていました。

腰痛で悩んでいる人たちに聞くと、5年ほど前は80%くらいの人たちが椎間板ヘルニアと診断されたことがあるという回答でした。

しかし現在は、それが15%くらいにまで減ってきています。

椎間板ヘルニアになる人がそれだけ減ったのかといえば、そういうことではありませ

ん。

この数年のあいだに、病院の側が椎間板ヘルニアという診断名を安易に使わなくなったというだけの話です。

 

椎間板とは脊柱を構成する骨と骨のあいだにある軟骨で、「飛び出す」「脱出する」という意味のラテン語です。

 

この椎間板がずれたように飛び出して神経にあたると、神経を圧迫して痛みやしびれを起こすというのが、これまで多くの日本の医師たちがしていた説明です。

しかしそれは、ちゃんと医学を学んだ人間であれば、日にできる言葉ではないほど事

実に反することです。

 

なぜなら椎間板は、神経よりもやわらかいものだからです。

医学生であれば必ず大学で手に取るはずの医学書にも「椎間板が神経にあたっても、

痛みやしびれが出ることはない」と書かれています。

 

60歳以上の人間の約80%はヘルニアという事実

 

ある程度の年齢になって椎間板が飛び出るというのは、年をとって白髪が増えたというのと変わらないほど普通のことです。

実際に「60歳以上の人間の76%がヘルニアだ」という発表もされています。これは

もちろん、腰痛の出ていない人も含めての数字です。

 

ヘルニアと腰痛の関連性がいかに低いかは、この事実からも証明されています。

それにもかかわらず、腰痛患者が来れば、当たり前のように椎間板ヘルニアと診断し

ていたというのはおかしな話です。

 

本当に神経が潰れていれば、それこそ排便排尿障害や下肢の運動麻痺が出ることにな

ります。

その場合は、精密検査をして、原因を突き止めなければなりません。そんな症状が出

ていなければ、そういつた面での心配はないのです。